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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)424号 判決

被告人

宇佐美つね

主文

原判決を破毀し、本件を名古屋地方裁判所に差し戻す

理由

当控訴裁判所は、刑事訴訟法第三百九十二條第二項により、職権で、本件訴訟記録並に原判決を精査するに、原判決は、その犯罪事実として起訴状記載の公訴事実を引用しているが、その犯罪事実によると第一乃至第七の事実は、昭和二十二年五月中旬から同年七月十五日頃まで七回に亘つて同じような方法で行われた詐欺であり、第八事実は、昭和二十四年三月上旬に行われた詐欺であつて、右第一乃至第七の犯罪は、昭和二十二年法律第百二十四号附則第四項刑法第五十條を適用すべき連続犯である疑があるのに、原審は、これを看過したか或は審理を盡さないため、連続犯の規定を適用しないで第一乃至第八の犯罪事実を、すべて刑法第四十五條の併合罪として加重し、被告人を懲役一年六月に処断していることが明白である。右の如きは連続犯であるものを審理を盡さずとてこれを併合罪と誤り認定したか又は連続犯に対し併合罪の規定を適用した法令の違反があるか何れかに帰着し、これは判決に影響を及ぼすものであるから、刑事訴訟法第三百九十七條により弁護人及び被告人の控訴趣意書に対する判断を省略し、原判決を破毀し、同法第四百條により、本件を原裁判所である名古屋地方裁判所に差し戻すことにする

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